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皆さんは、以下の「飼育職員心得十ヵ条」を知っているでしょうか?
- 動物は、いつも健康第一とし、やさしい心をもって飼育にあたろう。
- 調理、給餌は飼育の基本、常に動物の身になって考えよう。
- 餌づけをしたら、採食状態を必ず観察しよう。そこからその日の調子が分る。
- 脱出防止は、動物舎の点検、施錠と閉扉の確認から。一度ならず二度確認しよう。
- 自分の喜怒哀楽をそのまま動物にぶつけない。いつも平らな気持で担当動物に接しよう。
- 病気の早期発見は、飼育のかなめ、日々の動物の変化に細かい注意を配ろう。
- 動物舎はいつも清潔に、動物のすみやすい環境づくりを心がけよう。
- ネームプレートは、動物舎の表札、いつもきれいに見やすくしておこう。
- 飼育技術は、お互いの交流から、ささやかなことでも話し合って、技術の交流につとめよう。
- 野生動物の飼育は未開の分野、常に新しいことを開拓する気持をもとう。
※「動物園学ことはじめ」中川志郎(1975,玉川大学出版部)より引用
こちらの飼育職員心得十ヵ条は東京・上野動物園で飼育員の基本的な心構えを解くものとして伝わっているものです。
元・上野動物園長だった中川志郎氏は、書籍「動物園学ことはじめ」の中で、この十ヵ条について「上野動物園の100年に近い歴史的な経験の中から導きだされたものであって、その言葉は平易であるが、その内容はそれだけの重みをもっている」と記しています。
初めて聞いた!という方も多いかもしれません。
私が初めてこの十ヵ条を出会ったのは、先述の本を読んだ時でした。
(本サイトでも紹介しています→動物園学ことはじめ)
どれも基本的なことに感じますが、現役飼育員として働いている身としてはとても考えさせられました。また、過去のものではなく、現代にも十分通ずるものだと感じます。
特に考えさせられたのは、第一条、第五条、第六条に関連した「動物の見方、動物への接し方」の部分でした。
日々、動物たちのことをきちんと見ているのだろうか…。
多忙な作業を言い訳にして、動物への接し方を雑にしていないだろうか…。
彼らの立場に立って考えて、飼育作業をおこなえているだろうか…。
常に平常心で、彼らに向き合えているのだろうか…。
自戒の意味も込めて、今もこれらの言葉は胸に刻んで忘れないようにしています。
また、人によって感じ方も違うと思いますが、これから飼育員を目指す方にとっては、この十ヵ条が動物園飼育員としてあるべき姿を考えるきっかけとなってほしいと感じます。
一方、すでに飼育員として働いている方は、この十ヵ条を読んで、自身の働き方や振る舞いを一度見直してみても良いかもしれませんね。
今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。